「とう平」(寝そべり)主義

今の中国の若者を言い表す言葉。“とう”の漢字が難しい。漢字の右側の‘旁’(ツクリ)は、“尚“

この字の左側に”身“の字を添えた漢字だ。身を平らかにして横たわることである。即ち、

”頑張らない“、”競争しない”、“欲張らない”………これが嵩じると、“恋愛も、結婚も就職もせず”、ひたすら、平らかに“寝そべる”のだ。要するに、世をスネて不貞腐れてるのだ。

巨大な14億人のデジタル監視社会。14億の民が、ある日突然、右向け右、左向け左と急変を強いられる。3年前のゼロコロナ政策では、数十人のコロナ感染者が出ただけで、高層ビルが建ち並ぶ一つの地域全体を閉鎖し全活動を休止し、ロックダウンする。人っ子一人いないゴースト ー タウンが現出する。それが1週間は続く(住民は、地方都市が負担するPCR検査に並び、軽くワンタッチかのようなスピードで注射を受ける、後は家に引きこもり玄関前に置かれる配給食を受ける、もし、無断で出歩こうものなら監視員に寄ってたかって糾弾をうける)のだ。そんななかでは、平凡な“個人”は、その息苦しさから“寝そべる”。分からないわけがないだろう。

非凡な経営の才をもつ個人の私営の民間会社(中国に西側諸国で言うところの真の  

 民間会社があればの話だが)が、グローバル企業に成長し莫大な利益をあげ続けてれば必ず、共産党独裁政権、政府が横ヤリを入れてくるに違いないだろう。その”企業“は悟る。

ー利益をあげ過ぎたわ!、過ぎたるは及ばざる如しだわ!、これからは、他人と張り合うことはしまい、そこそこの利益で、”寝そべって“暮らそう。

若者がこのように考えるようになることは、国力の衰え行く前兆だ。その原因は下記の二つにあると思われる。

1、60年ぶりに人口減に転じたこと。

2、共産党独裁政権下の経済の限界(基本は、共産党に奉仕する利益無視の非効率国営企業)

2については複雑、多岐にわたるため後日、機会があればと言うことにして今回は1について独り言つ。

 1、60年ぶりの中国の人口減!

   イ) 、総人口ー  

世界一の中国の人口が、インドに抜かれつつある。中国の‘統計’や‘数字’を全面的に信用するわけではないが、世界各種のシンクタンクが苦労して推計した昨年末の両国の人口は、中国の14億1200万人に対して、インドは14億1700万人だ。(余談だが、中国に関する数字、統計は常に疑ってかからねばならない、なんせ、“大言壮語の民”なのだから、……コロナにしても、突然、“ゼロコロナ”から“オープン”にして感染者の数字発表もヤメ統計も放棄してしまう。それ故、後世の“コロナの研究”が不確かなものになってしまう。 3年前もそうだ。 コロナ発祥地との噂のあった‘武漢’にWHOのスタッフを入れて調査して精密なデータを採っておれば、世界に多大の貢献をしただろう。だが、そのような殊勝な気持ちなどテンデ持ち合わせのない、 メンツばかり重んじる独善的“大国”中国なのだ。困ったものだ。

ロ)、人口分布ー

インドの人口分布図は、きれいな“正三角形”だ。底辺の若年層(2〜30年代の労働人口)が、圧倒的に多く将来の国力発展が予測できる。

これに反して、中国のそれは“逆三角形”だ。若年層に比べ、60才以上の高齢者が多い。それもそのはず、いまか ら60年前に2回のベビーブーム(1963年、1987年)があったと言われ、その頃のベービーちゃんが、続々と60を迎えているのだ。これからは、少数の若年層が 多数の老年層を支えていかねばならない。

  ハ)、 少子化

 中国は永らく“一人っ子政策”(1979年より)を採ってきた。政府としては、何十億の民の胃袋 を満たすための苦肉の策だったが、 一人っ子で大事に育てられ‘小皇帝’とも6いわれる‘わがままっ子’を誕生させ社会問題にもなり、当初から不評だった。しかし、 違反者には罰金も科していたこの一人っ子政策を突如として変更した(7〜8年前)のだ。若い労働力が急速に減少することに政府は慌てたのだ。このままでは、年寄りだけの老人大国になってしまう。ただの“人口大国”になってしまうではないか。

 しかし、急に、2〜3人 子を産めと言われても、人間は 機械ではない、それに 若い夫婦にとって、子の教育費ー小皇帝さまを‘塾’に通わすだけで もたいへんーが重くのしかかる。更には、”ゼロコロナ政策“のように突如、コロコロ変わる不安定さに女性は ついていけないのだ。一旦何十年も 続いた政策は急には変えられないものなのだ。

 それから、もう一つ、‘人口の男女比 率’ だ。おおよそ、女性を 100 とすると、男子は110前後のようだ。オトコ余りだ。そもそも、結婚するのにもたいへんで ,運と才と財に恵まれて、盛大な結婚式もあげて結婚ができたとして も、急に変わる  社会の不安定化に女性は 落ち着いて子を産めない。こうして”少子化“の改善は、遅々として進まない 。少子化については、日本も同じ問題を抱えている。

ニ)今は昔、「中国は、世界の工場」

 数十年前、十何億の巨大な人口、生活は貧しく先進国の十分の一の報酬(給料)でも‘働き手’は無尽蔵だ。 中国の開放政策と相まって、西側先進国は、こぞって、工場を中国に移し中国は”世界の工場“となった。西側先進 資本主義国にとって 中国は、垂涎 の的( スイゼンノマト 、ヨダレが垂れるほど魅力的なこと)だった。大量の 消費者、つまり、大量の需要が見込めることは、 ‘大量生産 ‘が可能なことで一個当たりのコストが格段に安くなるこ とだ。極端にいえば 、今まで自国で作って売っていた価格 の半値でも利益が出るし 競争相手にも勝てる。

 そして、半世紀経って、貧しかった 中国の民の生活が潤った。労働者の人件費が西側諸国並みに上がってしまった。さらに厄介なことに、ホワイトカラーの給料よりブルーカラーの給料がより高騰した。キツイ仕事をする地方出身の若い農民工の数(2億とも3億とも言われている)が減少していくが、“キツイ”仕事はいくらでもある。当然、農民工の給料はハネ上がる。一方、一人っ子で大事に育てられた‘小皇帝’さまは、大学卒業して、キツくない楽なホワイトカラーに群がるが、ここは、ペーパーレス、合理化、電子化で、大勢の‘人’はいらない。

もはや、若くて勤勉でキツイ仕事を厭わない‘安価で良質’な労働者は、中国にはいないのだ。“世界の工場”は、昔の物語になりつつあるのだ。 

それを知ってか知らずかはわからねど 、  豊かになった中国は自信を持ち始めた、イヤ、過大な自信をもちはじめた。民主主義国の期待に反して突っ走り、突如”専制主義、権威主義国“の ような振る舞いを見せるようになった。ーー米国を追い越し、世界一の強国になるのだ、イヤ、すでに軍事的には追いついたぞと自信を深めたーー過去の一時期西側諸が中国領土を勝手に切り取り植民地化してきたと言う歴史の‘怒り’が頭をよぎったか、 はたまた、大昔の‘覇権主義中華思想’(領土拡張主義)に 浸りたいのかは分からない。

今や、 西側諸国は、異形(イギョウ)の大国 、「 中国 」について、「ロシア」と同じ“ニオイ”を感じるようになった。“商売したければ技術全て公開しろ“などのきつい条件を嫌い 、或いは、スキあらば産業スパイを介して技術をパクられ の 嫌って、“新規投資”が減り、徐々に外国資本(工場)が中国から“撤退”、或いは工場を 東南アジア、ベトナム、タイなどへ移動するようになった。 更に、“習近平”は、独裁を益々強化して“台湾”をとりこむことが“核心的利益”だと宣っており、じいじには‘何を言っているのかさっぱり分からない。親父から聞いた話では、第二次世界大戦で日本が敗戦した時の国連常任理事国の一国は、中華民国(今の‘台湾’)だったのだから。……東南アジア、ベトナム、フイリピンなどと領有権で争いのある 南シナ海南沙諸島も一方的に自国領土と宣言して、気がついたら、中国の軍事基地が出来上がってしまった。誰も止められない。国連もあてにならない、なんせ、国連の常任のロシアが率先して軍事力でウクライナを侵攻、これに同じく国連常任理事国たる中国はロシアとあうんの呼吸で黙認、最後の砦の“米国”も核大国には腰が引けてる。 だが、日本を含めて、“核”を持たず、大した軍事力持たない東南アジア、欧州諸国が声をあげ始めた。…………独善的な中国に逆風が吹きは始めてきたのだ。 

 一年前のロシアのウクライナ侵攻以降、世界は、「ロシア、中国、北朝鮮」を、西側民主主義国とは異なる“異質な専制国家”のかたまり、グループと見なすようになった。

14億人のキツイ仕事も厭わぬ若くて安価な労働力は、その生産力と莫大な 消費量で西側先進資本主義国を魅了した。厄介なのは、そこそこの”小金“を持つが”労働意欲“はなく、たいした“消費“もせず、ひたすら横になり”寝 そべる”14億の民だ。ブラブラしてても腹は減る。14億の中国の民の胃袋をどうやって満たすかだ!ーサーモン、マグロの刺身を14億の民が好きになったら〜〜どう

 この稿、悲観的になるが、一 応、これにて終了。