「プリゴジンの乱(ロシア)」(その1)

コノゴロ ロシア ニ ハヤルモノ ヨウチ アサガケ ニセ ジョウホウ クサノネ  ワケテモ サガシダセ ロクセンビキ ノ ハリコノトラ ニ マタガル ニセショウグン。

 

1、今、最高の話題、「プリゴジンの乱」を、今回、趣向を変えて“小説もどき”にして呟く。

 ‘小説とは虚実皮膜なり’ と看破(カンパ、見事に言い当てた)したのは‘坪内逍遥’だ。

 ウソかマコトか、マコトかウソか、皮一枚。ドキュメンタリーではないことを念頭に!

 

2、登場人物は3人。プーチン/プリゴジン/ルカシェンコだ。

 先ずは、自己紹介。次に、3人それぞれの独白(心のうちの独り言)を綴る。

 

 イ)プーチン(71才)

        ウラジミール.プーチン、ロシアのサンクトペテルブルクで生まれた。16年間もの間

  KGB(秘密情報機関、諜報機関で、平たく言えばスパイ養成。今のFSB(連邦保安の

  前身)に在職。叩き上げの軍人ではない。エリツイン大統領の目にとまり、大統領代行に

  引き上げられた後、2000年大統領に。そして、金力財力を持つオリガルヒ(新興財閥)を

  味方に、身辺に‘イエスマン’を置き強固な独裁体制を整えた。そして‘ピョウトル大帝’ 

  が築いた“大ロシア”を夢見るようになった。遂には、過信が進み、“三日もあれば片付く”
       として1年半前にウクライナに侵攻の結果、三日どころか500日経っても先が見えない。

  なんとか’停戦‘に漕ぎ着けても、西側諸国の経済制裁は数年間は解除されないだろう。

  おそらくプーチンは、ロシアの国力を極限まで没落させた張本人として歴史にその名を刻

  むだろう。だが今の所ベラルーシの大統領、ルカシェンコに次いで長期在位大統領だ。

  祖父については謎が多い。国営メディアによれば、レーニンスターリンの料理番であっ

  たとする。この他に、異説、珍説が飛び交う。若い頃の祖父は、‘ラスプーチン’(快僧.悪

  僧、ニコライ2世の宮廷に潜り込み悪さをした、日本の奈良時代の女帝に取り入った悪僧

  の‘道鏡’の類い)の給仕をしており同名だったが、‘ラス’を取り払いプーチンとなった説や

  ら、更に飛んで、今度のウクライナ戦争で国家破綻して中国の属国となり名前も最終的に

  はただの“チン”となる珍説も。当人だと思てったら、‘影武者’だったりするかも。   

  何処の独裁者も謎が多いものである。

 

ロ)プリゴジン(62才)

    サンクトペテルブルク生まれながら、小さい時から‘悪ガキ’で、20才の強盗.詐欺を振り出

 しに10年にも及ぶ刑務所暮らしを出所後に始めた‘ホットドッグ’屋でプーチンと知り合った

 とか? 以降、‘プーチンのシェフ’(プーチンの料理人)を吹聴し、‘ケイタリング・飲食レス
 トラン’、不動産、映像・メディア社など多岐にわたる業種を統合したコングロマリット(オ

 リガルヒ即ち新興財閥)を創り上げた。極めつけは、”ワグネル“と言う民間軍事会社を作り

 あげてしまった。我々日本人には、奇異に感じるが‘金’で雇われる傭兵組織はロシアには30

    を超えるほどある。また、英国の”G4S“は、英国正規軍の3倍,65万人の傭兵を抱え125カ国

 で展開している(日本の自衛隊の約3倍だ)。

 もう1つのプリゴジンの強みは、アフリカ10数カ国(殆んどが専制主義独裁国家)との間の、

 まさに字義どうりの“金脈”だ。ロシア国(プーチン)が、‘普通‘の顔をしてこれらアフリカ諸

 国と友好関係を築く。その裏で、プリゴジン率いるワグネルが潜り込み、金.ダイヤモンド.
   レアメタルの採掘権を漁る。採掘に伴う土壌汚染、人権などは闇の中。特に、中央アフリカ

 カ、スーダンなどで顕著だ。今になってプーチンは、ワグネル率いるプリゴジンに国から

 1400億円もの金を払っていると宣(のたま)うが、断定は出来ないが、これを上回る額がア

 フリカ金脈からの上納金としてプリゴジンからプーチンに渡ってると見るのが自然だろう。

 “プリゴジンの乱”後、長い刑務所暮らしの悪知恵で固めたプリゴジンと長いKGB暮らしで

 得た陰謀.策略で固めたプーチンがどの様な関係になるかは見ものだ。

 この二人、どちらか“消そう”としても、そうはさせじと“罠“(わな、仕掛け)が仕掛けられて

 ると、お互い熟知しているからだ。”蛇の道は蛇“なのだ。

 

ハ)ルカシェンコ(68才)

   1991年のソ連邦崩壊後に独立したベラルーシ共和国の大統領。(ソ連邦崩壊を機にソ連邦

 構成していた10数か国、ベラルーシをはじめバルト3国,カザフスタン等が独立をした)

   ベラルーシは、ウクライナとロシアに国境を接しており‘親露’国と言える。23年ほど前には

 親ロシアどころか大ロシアを飲み込むほどの勢いがあった。1999年に、「ベラルーシ

 ロシア連合国家創設条約」が正式に締結されたのだ。条約締結当事者ロシアの大統領であっ

 た“エリツイン”と堂々と渡り合ったのは、小国(国土は日本の半分、人口1千万)ベラルーシ

 の大統領たる‘ルカシェンコ’だった。しかしエリツインの後を継いだ大ロシアを夢見るプー

 チンによって、攻守ところを変えて、ベラルーシを属国扱いするようになった。

 ルカシェンコにしてみれば、当時のプーチンなど‘小僧っ子’でしかないと言う思いがあり、

 今まで何回もの脅迫まがいの「ウクライナ戦争への参戦」要請を‘ぬらり.くらり’とかわして

 きた。そう言う意味で自国の立ち位置をよくわきまえたプーチンを超える大ダヌキなのだ。

 つい2カ月前には、行きたくもないプーチン主催の昼食会で体調悪くし病院搬送され、スワ

 ッ‘暗殺’かと噂され、踏んだり蹴ったりだ。……ところが、神は見捨てなかった!ーロシア

 正規軍に反旗を翻す「プリゴジンの乱」が突如、天から降ってきた。大ダヌキにとっては、

 ‘ネギを背負ったカモ’が飛んできたように思えた。……この機を巧く捉えればプーチンにも

 プリゴジンにも“恩”を売ることができる……。そしてある‘思案’をめぐらす。

 

3、3人の独白(独り言)

   イ)プリゴジン(62才)の独白

  ➖「6/23〜 夜が明けた。迷いは無い。決行だ。…あの無能な取巻き連中(ショイグ国防

    相、ゲラシモフ参謀総長)ら、バフムトでの俺(ワグネル)の戦功を横取りし、あまつ

    さえ、ワグネルを解体し、俺を外してワグネルをロシア正規軍に取り込もうと企んで

    おる! 許せん!……先手必勝で、奴らに天誅を喰らわす!」

  ➖「バフムトを出て、ロストフに入り空港を制圧した後、高速に出てにモスクワまで

    一気に進軍する”正義の軍団“(2万5千の戦車、地対空ミサイルをも備える重機部隊の

    ワグネル軍)だ!

  ➖「……途中、集まった群衆の熱狂ぶりはどうだ!握手攻め、スマホの自撮りなど、我

    ながら嬉しい限りだ。……早速、映像を流せ!(プリゴジンは自前の映像メディア会社

    を所有している)。俺の人気が全てを物語ってるのだ。」

  ➖「……オカシイ!軍人の参入が無いではないか?……あのアルマゲドン将軍(スロビキ

    ン軍司令官、ロシア正規軍非主流派)はどうした? もう一人、テプリンスキー(空挺

    軍司令官)はどこにいる?………?いつの間にか、モスクワまで200キロまで来てしま

    った、我々だけか?……ヤバいぞ!これは。」

  ➖「……なんだと!あの大ダヌキ(ベラルーシのルカシェンコ大統領)から電話だと!…

              ……プーチンのは着信拒否してきたが……いいだろう! 大ダヌキと連絡を取れ!」

  ➖「……タヌキめが!……このまま突っ込めば‘虫ケラのように潰されるぞ‘ と吐かしおっ

    たわ。……チクショウめ! モスクワまで200キロまで迫ったのだ。我々25000のワ

    グネル軍だけでだ! これは、’コロンブスの卵‘(皆が思い付かないこと)だ。…………

             もしもだ、ここで、万を超えるモスクワっ子が集まれば…プーチンとて尻尾を巻いて

    逃げ出していただろうに、残念だ。……いいだろう、ワグネル兵士と俺の安全保証を

    条件に、ルカシェンコダヌキに一任しよう!」

 

 ロ)プーチン(71才)の独白

  ➖「6/23〜 ……あのー刑務所上がりのホットドッグ野郎(プリゴジン)めが!調子に乗

    りやがって、着信拒否までしやがって、……FSB(連邦保安局、この前身が有名なKG

              B)はどうした? パトリシェフ(安全保障会議の書記)はどこにいる?」

  ➖「…誰か、連絡を取れ!……ショイグもゲラシモフも、奴の好きなようにとでも、ウソ

    八百並べてホトドッグ屋を捕まえろ!ワシと連絡させろ!………………なんだと!この

    ワシに‘ルカシェンコ’から電話だと!……余計なことをしたな? 大ダヌキめが!

    ………誰か聞いてやれタヌキ話を!」

  ➖「……分かった! ホットドッグ屋とワグネル兵士の一応の安全は保証しよう。

    だが、この“反乱“の首謀者はホットドッグ屋(プリゴジン)だ。奴が持つ6つか7つの

    企業(プリゴジン所有する財閥企業群)は、ひとつずつ消していく。奴の自前のメディ

    ア・映像会社は、今すぐにも潰せ! ワグネル兵士には3択から一つを選べ!

    ①プリゴジンと一緒にベラルーシ入り②ロシア正規軍入り③退役し帰郷する。」

  ➖「参謀どもを集めよ!………首都まで200キロに迫った反乱だ!  反省せよ!
    即、実行するのは、次の4つだ。」

    ①‘群衆に囲まれたプリゴジンの映像’に対抗する映像を流せ!影武者を使ってもいい

     ぞ!(後日、タゲスタン共和国で群衆に揉みくちゃにされるプーチンの映像が流さ

     れた。)

               ②軍を刷新しろ!

    ③バフムトとクリミアを死守せよ!

    ④ベラルーシ共和国を監視せよ!(戦術核を配備したのは早計だったかも?それに、

     刑務所上がりの暴力装置のワグネルを置いたのは? まさか我が方に向けられる

     ことはあるまいが?………ベラルーシを”上海協力機構“(ロシア、カザフスタン

     キルギス、タジスキタン、ウズベキスタン、インド、中国、イラン)に組み込まね

     ば。

 

 

 ハ)ルカシェンコ(68才)   

  ➖「………あのクセのある二人の仲介、上手くいったわ!  だが、驚きだ!

    たったの25000のワグネル軍がモスクワまで200キロに迫るとは! しかも、

    無傷でだ。あそこで群集が集まりだしていたらクレムリンに乱入だってあったかも

    しれない。その意味では、プーチンには俺に”借り“が出来た筈だ。

    一方、呼応する正規軍が一人も出ないと言うことは、あのままプリゴジンが突っ走れ

    ば“虫ケラのように潰された筈だ。どの意味では、俺はプリゴジンの恩人なのだ。」

  ➖「……去年の2月の末頃だったか、自信満々ウクライナに突っ込んだプーチンには、

    悩まされぱなしだわ!……会えば、二言(フタコト)めには、‘ロシアに協力しろ、参戦

    しろと、やいの-やいの の催促ばかり。……先々月のプーチン招待の昼食会で体調

    崩し病院搬送、’暗殺か毒殺か’の不名誉な噂を引き起こしてしまったわ。」

  ➖「これからは、こちらから(ベラルーシ)真似事でもいいから、‘攻勢’にでるか。

    20数年前は、この俺は、あの’エリツイン‘と互角以上に渡り合っていたのだ!……

              当時、プーチンなんぞ小僧っ子だった。あの世に行く前に、’夢よもう一度‘をヤラカ

    シテ見るか。攻勢の材料はある!
    1つは、プーチンから強引に押し付けられた’戦術核‘だ。核のボタンは別として、

     核そのものはこっちのもの。脅しにもイロイロと使える。

    2つは、ワグネルだ。建前は、我が軍の実践的訓練の教官だが、イロイロに使えると

     言うものだ。ウクライナに対しても、NATOに対しても……万一の場合にはロシア

     に対してもだ。」

  ➖「我がベラルーシは小国だ、だが、モスクワに近い位置にある。’小‘が’大‘我が飲み込

     むことだってある。……当面は、”プリゴジンの乱“をプーチンがどのようにオトシ

     マエをつけるかをじっくり見てみよう。」

 

  以上。(プリゴジンの乱」その1